1.トップページ完全理論武装

1-1 今のトップページってこんな状態!

4分の1だけ「トップ」ページ?

「ホームページ」という言葉は、もともとトップページのことでした。そこから出発して、いつでも帰っていくことのできる場所…。という意味で「ホーム」だったんですね。迷子になっても戻ってこられる。なんだかすごく暖かみのある言葉になってますね。

2000年ちょうどぐらいまでは、ホームはまさに出発点でした。ウェブサイトを訪れる人の7割以上がトップページから訪れていたのです。ネットで検索すると言えばYahoo!のディレクトリ登録で、Yahoo!は基本的に「こんなホームページがありますよ」という紹介の仕方だから、トップページへリンクしてくれるのですね。企業も、ウェブの告知に必ずといってよいほどトップページのURLを使っていたし、ホームページを紹介する本も良く売られていました。

4分の1しか来ないトップページ
(図1-1-1)●4分の1しか来ないトップページ

ところが、2000年にGoogleというサーチエンジンが登場して、時代は変わりました。GoogleはYahoo!と違い、「あなたが検索したキーワードはこのページに載っています」という紹介法。サイトを紹介するのではなく、ページを教えてくれます。「○○ガイド出版社」といったサイト名、会社名で検索すればトップページが出てくるけど、「ツアー 沖縄」と検索すれば同じサイトでも別のページが紹介されます。

こうした影響から年に10%ぐらいずつトップページから来る人は減り、今では多くのサイトで25%からせいぜい30%程度しかありません。つまりトップページは4分の1ぐらいの人にしか見られていないのです!

会社の顔としての役割が強まる

つまり、残り4分の3の人は、トップ以外のページからやってきて、トップページを見ないまま帰っていきます。トップページだけに「プレゼントはこちら」と書いても、「新商品発売」と書いても、そのメッセージがどれだけの人に伝わるか? 「製品にアスベストが使われていました」なんて重要なお知らせも、トップだけに掲載したのでは、企業の社会的責任は4分の1しか果たせません。

これまでトップページは、会社の顔としての側面と、製品情報などの重要なコンテンツへ誘導するという2つの役割を持っていました。毎月のホームページ運営会議では、各事業部が自分の商品のボタンをトップページの良い位置に掲載しようと、場所の取り合い合戦をしてきたものです。しかし、全体の4分の1以下しかトップページから入ってこないとなると、そうしたボタンは大きな効果にはつながりません。何しろ、極端に言えばトップページには次の2種類の人しかいないからです。

A・会社名で検索したか、お気に入り登録から来た「もうこの会社について良く知っている」人
B・先に他のページを見てからトップページに来た「商品を先に見て、この会社どんな会社?」と思っている人

Aの「この会社について良く知っている人」は、多くが「会社案内」「採用情報」「IR情報」「ニュースリリース」へ移動する人です。既存の取引先で、会社案内で地図を見たい、電話番号を確認したい、と思っている人がたくさんトップページから訪れます。Bの人も、商品ページなどを先に見ていますから、トップページに来たのは、信頼できる会社かどうか確認したい、会社について知りたいと考えているからです。

ということは、今どきのトップページには「会社の顔」としての役割が強く、製品などの情報へのリンクという役割は弱くなっている、と考えなければなりません。製品情報ではそれぞれの商品に合ったニーズを持った人を検索や広告から集める方が得策です。

まず実態を確認して、変えていきましょう。

こうした人は、自分の「行き先」を良く分かっています。採用情報に移動する人は、「採用情報」「企業情報」というボタンを一生懸命探す目になっているので、多少小さなボタンでもちゃんと見つけてくれます。既存の取引先も、ただ会社の所在地などを見たいと思って訪れるので、一目散に目指すコーナーへ移動します。

今どきのトップページは、こうした「行き先のはっきりしている人」の入口なのです。こうした人に会社についての認識を広げてもらうためには、トップページに「こんな風に環境を守っている」「業界シェアをこれだけ拡大した」といった具体的な記述がトップページにぜひとも必要です。別途「エコロジー」コーナーに詳しい情報があると言っても、みんな自分の行きたい「採用情報」「企業情報」に急いで移動してしまって、そこでアクセスを終えてしまうので、せっかくのエコロジー情報コーナーはあまり見られない、ということになるのです。

まずトップページでは、会社の顔として、他のコーナーへ移動しようとしている人にも分かりやすいように、企業活動や実績をしっかり見せましょう。

さて、会社でウェブマスターに就いたあなたが、まず最初にやるべきことは、どれぐらいの人がトップページからサイトに入ってくるか、割合を調べることです。訪問者数が全部で1万人のサイトで、もし2千人程度しかトップページから入ってくるという状態で、しかも1千人ぐらいが会社名で検索して訪れているなら、そのトップページはより会社の顔として具体的なメッセージを必要としています。

新入社員のあなたには、その会社がトップページに掲載すべき情報が見えにくいですね。では次回、ウェブマスターがトップページを具体的にどんなステップで変えていくか、その取り組みについて見ていきましょう。

(2006/4)

次回は、1-2「会社のみんなが熱くなるトップページの演出法」

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